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●ボランティア意識を奉仕活動から社会参加へと広げるには

 

日本で良く見られるボランティアは、ボランティアに似ていますが実はボランティアではない傾向があると思います。自分の気まぐれで相手のことも考えないで行動する。たまたま暇だったから、というのはその人のレクリエーションであって趣味の延長でしかないといっても過言ではありません。本来のボランティアというのは自分の都合で困ることがあっても、期待されていると思えば期待に応えるような行為が必要です。自己犠牲がなくてはならないのではないだろうか。また寄付についても出しっぱなしの捨て金では意味がありません。そのお金がどのように使われているか、自分でもそれに関わらせて欲しいという気持ち、行動が大切ではないでしょうか。
わが国におけるボランティアは一般的には奉仕活動と言われておりましたが、この言葉には上下の関係が匂っていて、適切な言葉ではないと思っています。単純に奉仕活動ではなく、もっと横の関係を強調した個人の自由な意志による目的を持った社会参加でなければなりませんし、「してあげる」の考えではダメだと思います。それは震災時のボランティアに関わらず、私達の日常生活はもちろんのこと、社会生活全般に関わる広範囲の中の活動が対象になってきます。その行動範囲も教育、福祉、文化、芸術、スポーツとあらゆる分野でボランティアの輪が広がっていくことが必要ではないかと思います。

 

●未来の高齢社会に対処するためには

 

さて、現実を見てみますと守口市の場合、平成8年9月1日現在の人口は15万7000人。65歳以上の方は1万9000人、70歳以上の方は1万2000人になります。総人口の65歳以上の占め季割合を高齢比率と言いますが、高齢比率は12.6%になります。平成12年にはその高齢比率が14%になる見込みです。全国平均予測の16.9%よりは低いですが、御多分にもれず高齢社会がやってくることは確実でございます。21世紀の高齢社会に向かって、市民が住み慣れた所で安心して暮らせることが望まれるわけです。この実現に向かって行政が努力するのは当然ですが、市民の皆さんに互いに助け合っていくという精神を持っていただくのも非常に大切だと思います。今元気な人は困っている人に手を差し延べていく、また自分が困った立場になったときには、地域の人達によって助けてもらう、と市民がお互いに助け合っていける地域社会をつくっていくことが必要であると考えております。
私は戦後、日本が繁栄していく中で失ったものが1つあると患います。それまで日本人は地域毎にお互いに助け合って生活していました。やがて経済が上向きになり、生活も裕福になるにつれて、助け合うということが希薄になってきたのではないかと思います。それは教育の場でも、地域社会の中でも言えるのではないかと思います。
私の子ども時代のことを言わせてもらえば、運動会ではお互いに近所のおじちゃん、おばちゃんから弁当のおかずをもらったり交換しあったりしました。また向こう三軒両隣でお互いに頂き物をあげたりもらったり、病気の時は助け合ったりしていました。家の前のドブ掃除をする時はお互いに両隣三軒先まで掃いておりました。私にはそういう思いがたくさんありますが、みなさんはどうでしょうか。

 

 

 

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